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平成28年度連携講座 : 平成28年度 第5回連携講座
投稿者 : 事務局 投稿日時: 2017-10-12 14:53:51 (47 ヒット)

平成28年度 静岡大学岳陵会 連携講座 第5回

  

日 時  2016117日(月)1425分~1550

会 場  静岡大学 人文社会科学部 大講義室

受講生  180

講 師  平井 正大 様  浜松信用金庫 常務理事

(人文13回 昭和56年 経済学科卒)

 

演 題  「企業を見る目と企業が求める人材」

 

みなさん、こんにちは。私は35年前に人文学部を卒業し、浜松信用金庫に入庫しました。大学では財政学ゼミ、卒論は「大量国債発行と財政危機」でした。19813月卒業時の国債残高は71兆円でしたが、今年度末には838兆円予想ということで、現在もなお財政再建の論議がなされています。入庫して、営業店長を3店舗経験した後、本部で主に融資審査と業況悪化企業の経営改善を支援する業務に従事しています。会社を審査する部署で日ごろ企業を見ていますので、今日はその観点からお話しさせていただきます。

初めに浜松信用金庫についてご紹介します。預金残高は1兆5,555億円。全国265の信用金庫の中では20位、県下の12信金では第1位です自己資本が1,183億円あり、66年間で利益を蓄積した結果であり、健全性の高い金融機関という評価をいただいております。信用金庫は銀行と違って、営業区域に制限がありまして、融資においては中小企業専門機関として、地元の限られた営業区域内で地域に密着した経営を行なっています。

 

. 企業を見る目 

初めに、金融機関から見た企業を見る目ということで2つの視点からお話しさせていただきます。まずは財務面です。いい会社というのは安定した利益を出しているかということです。金融機関もまず初めに財務面をみます。会社は、最低年1回「決算」を行い、3つの財務諸表を作ります。この3つの財務諸表はつながっています。

・損益計算書(PL)…どれだけ利益をあげたのかを表す    ≪収益性≫

・貸借対照表(BS:バランスシート)…期末時点の財政状態を表す  ≪安全性≫

・キャッシュフロー(CF)計算書 …現預金が滞りなく循環しているか ≪安全性と収益性≫

企業は、負債と資本によって資金を調達して資産を集め、それを運用して利益を得ています。そして利益は、新たな元手として次の商品の仕入れや資産の購入、授業員の給料や税金の支払いに使われています。別の見方をすれば、ビジネスによって作り出された富を分配しているといえます。ですから、企業は儲けなくてならないし、適切に分配しなくてはなりません。

 

では、企業の役割となんでしょう。企業はビジネスによって作り出した富を、各関係者に分配するという責任を持っています。では何をやってもいいかというとそうではありません。企業の存在意義は何かを考える際、長野県の伊那食品工業塚越会長の経営哲学に「年輪経営」という言葉があります。これは木が1年ごとに年輪を刻むように、少しずつ確実に成長していけばいい。経営にとって本来あるべき姿とは、社員が幸せになるような会社をつくり、それを通じて社会に貢献すること。利益が目的になるから会社がおかしくなるのです。この会社は、創業以来48年連続の増収増益だけでなく、この20年間に会社が嫌でやめた人はゼロだそうです。人件費はコストではなく、会社の目的そのものであり、従業員に人件費を支払い、幸せになってもらうことこそが、会社が存在する大きな理由だといっています。

 

ここで、トヨタの問題解決手法についてお話しします。トヨタでは、“あるべき姿”と“現状”とのギャップが問題と捉えています。問題がないことが最大の問題だといっています。そして問題を3つに分けています。①今起きている問題(発生型問題解決)②より高い次元の“あるべき姿”を新たに設定(設定型問題解決)③中長期的視野を持って大きな視点から問題を解決(ビジョン指向型問題解決)。もう一つ、トヨタの問題解決に「5w」というものがあります。なぜ(why)を5回繰り返すこと。これはすべての世界で応用ができます。なぜを繰り返すことで、真の原因が見えてくるということです。この問題解決の手法はとても重要ですので是非覚えておいてください。

次に、地域金融機関に求められているものですが、バブルが崩壊した時、多額の不良債権が発生しました。金融庁は金融検査マニュアルをつくり不良債権の処理に乗り出しました。今は不良債権もめどがつきましたので、平時の金融行政になりました。現在、金融機関は担保・保証に過度に依存しない融資ということで、企業の事業内容、成長可能性があるのか、持続可能性はあるのか(事業性評価)を見ています。そして融資だけでなくコンサル機能を発揮すること、企業の成長を通じて地方創生に貢献することを求められています。

 

次に、非財務面からみてみますと、融資の基本姿勢というのは、人を見て、事業を見て、お金を貸すことです。

財務諸表は結果です。技術力や商品力、そして経営者の資質・組織力といわれる知的資産がものすごく大切になります。ですので、将来企業を見るときには、決算書だけみてはいけません。この目に見えない知的資産をしっかり見てください。また、企業の力、①作る力(技術力、商品力、開発と量産)②売る力(営業力)③組織力、この3つの力を見ることも大切です。

 

経営改善の支援をしても赤字のままの企業もあります。そこで過去の収益改善に成功・失敗した100社を分析し、共通したことを発見しました。

①経営者の資質(ヒト)…企業理念、ビジョン、リーダーシップ、従業員との一体化

②強豪との差別化(モノ)…SWOT分析のS(強み)を活かした戦略

③採算(原価)管理の徹底(カネ)…売上重視ではなく利益重視

この3つが優れている会社は成長し、劣っている会社は減退しています。将来起業したいと考えている人はぜひこの3つに注力してください。

 

経営者の資質ということで、「会社をつぶす社長」10のポイントをあげさせていただきます。

5つの「弱い」】

 ①数字に弱い ②パソコンに弱い 

③朝に弱い ④決断力に弱い 

⑤人情に弱い

5つの「ない」】 

①計画性がない ②情報がない

③リーダーシップがない

④危機感がない ⑤人脈がない

これは、学生時代に身につけるべきことに繋がっていきますので覚えておいてほしいと思います

 

余談ですが、私が知るトップセールスマンから学んだ営業の極意です。

好かれること

 明るい笑顔  挨拶  身だしなみ

相手に感動を与える

  相手の期待を上回ることをすると感動になります。

相手にとってまた会いたくなる

  幅広い知識(政治、経済、歴史、スポーツなど)があれば人間的魅力が増えます。相手に興味をもって自己勉強。興味を持って調べると知識が身につきます。スキルとは勉強と経験の積み重ね。何事にも興味をもって学ぶ姿勢を身に着けて下さい。


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