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平成29年度連携講座 : 平成29年度 第4回 連携講座
投稿者 : 事務局 投稿日時: 2018-05-11 13:30:12 (14 ヒット)

平成29年度 静岡大学岳陵会 連携講座 第4回

 

日 時  20171030日(月)1425分~1550

会 場  静岡大学 共通教育B501

受講生  80

講 師  鈴木 論子 様

  清水税務署

(人文学部34回 平成14年 経済学科卒)

演 題  「 国税専門官の魅力 」

 

 

自己紹介

みなさん こんにちは

ただいま紹介に預りました、人文学部経済学科34回卒業生で、現在清水税務署個人課税部門で国税調査官として勤務しております、鈴木論子と申します。よろしくお願いいたします。

平成14年卒業以来15年ぶりに静大に来ました。こんな機会がなければ静大に来ることはなかったと思いますので、今回のお話はありがたく思います。

今日は「現代社会の変容とキャリア形成」について講義をさせて頂きますが、自分自身の大学時代から今に至るまでを振り返って思うことと税務職員の仕事についてお話させていただきます。

 

国税専門官になるまで

この中で公務員志望の方はいらっしゃいますか?(今は公務員講座も受講できると聞いておりますが)ではその中で「国税専門官」の試験を受けようと思っている方はいますか。(1名手が挙がる)税務署にいる若い職員の中には静大出身の職員が多いと感じております。私は大学4年の時に国税専門官試験を受験しましたが、勉強不足で落ちてしまいました。国税専門官試験に落ちてしまった私は就職活動を始め、首都圏にあるパン屋に就職することができました。そして川崎で暮らしながらパン屋の販売の仕事をしていました。しかし一緒に仕事をしていた子どもを持つ社員の女性が土日出勤、シフト制の勤務をしながら、子どもを保育園に預けたり、保育園が休みの時は親に預けながら仕事をしているのを見て「ここでは自分は長く働けそうもない」と思い、1年半でそのパン屋を辞めました。もともと「自分は結婚するとしても結婚しないにしても、一人で食べていけるようになりたい」と考えていたので、沼津に戻り再度国税専門官の試験を目指すようになりました。そしてパン屋の給料で公務員試験の通信教材を購入し、今度こそ絶対合格しなければという強い意志を持って国税専門官試験に合格し、現在に至っております。

 

現在の仕事

私が携わっております税務署の中の個人課税部門の仕事についてお話しします。今の仕事は確定申告している方の申告内容について、その内容や計算が間違えていたり、申告が必要であるのに申告がない方に連絡を取り、税務署に来ていただいて申告内容を直していただいたり、申告していただくという仕事をしております。毎日たくさんの方に来署してもらうのですが、申告が間違っていたり申告していない方なので、税金を追加で納めていただく方がほとんどです。「どうしてまたこんなに納めなければならないんだ!」「税務署の指導で申告したのに間違えているというのはどういうことだ!」という方もおられ、常に丁寧な対応とわかりやすい説明を心掛けております。怒りをあらわにしている人にこちらの主張だけをぶつけても相手の怒りはおさまらないどころか炎上する一方です。まずは相手の言い分をよく聞いてその上で「お気持ちは十分わかりますが、でもですね・・・」というように説得していきます。私たち税務職員は法令に基づいて適正・公平な課税を行わなければなりませんので、なんとかして相手を説得して正しく是正します。公務員でなくても、どんな仕事でも相手を説得させなければならない場面は少なからずあると思います。大学生の時からいろいろな人と付き合って会話したり、ゼミに積極的に参加することによってコミュニケーション能力を養っておくと、仕事をする上で非常にプラスに働くと思います。コミュニケーション能力というのは、ただ単に話が上手にできることだけではないと思います。私自身も話をするのが苦手なので、人をどっと笑わせるような話ができる人をうらやましく思いますが、相手の話をきちんと聞くことができるのもコミュニケーション能力の1つだと思います。相手の話を聞いて、相手の気持ちに寄り添って、相手に信頼してもらえるような会話ができるようになれば仕事もスムーズにできると思います。

また、税務署の外に出て調査に行った時のお話をします。初めの頃はとても緊張しました。今でも調査に行くとなると緊張しますが、まずは調査先まで車でちゃんと着けるか、道は狭くないかなど不安になります。電話でアポイントをとって行くにしても、相手がどんな人かわかりませんのでドキドキします。実際は調査先の方が緊張しているかもしれません。税務署が来るなんてなんか悪いことでもしてしまったのかと思う人もいるようです。調査では自宅や事業所におじゃまして、国税通則法の質問検査権に基づいて事業の内容を聞いたり帳簿等を見せていただいたりするのですが、その質問検査権だけではうまく調査はできません。調査においては調査先との信頼関係を築くことが重要です。そのためにはまずは最低限、マナーや服装に気をつけます。そして誠実な態度と調査に入る前のちょっとした世間話をすることで、この人ならいろいろな話をしていいかもと思っていただかないと物事はスムースに運びません。調査先に対し調査結果を説明し、相手も納得し調査終了になると、初め緊張していた分達成感を味わえます。

 

税務大学校和光校舎

国税専門官に採用されると税務大学校和光校舎で研修を受けることになります。税務大学校には国税局、国税事務所で同じ年に採用された「同期」が全国から集まってきます。税務大学校では講義を受けたり、班に分かれてゼミを行ったりします。図書室もあり、試験の前にはここで一生懸命試験勉強をしていました。ゼミも試験も大変なのですが、いろいろな学部出身の人が集まるので、それぞれ得意分野を教えあって、特に簿記の知識がある人は班の皆の面倒を見るなど、皆で助け合い和気あいあいとした研修で、とても楽しかったです。実務研修ではゼミがメインで、班の中でさらにグループに分かれて事例の検討などを行うのですが、皆それぞれの意見があり「あっ こんな考え方もあるんだ」と非常に刺激を受けました。基本的に大学と同じような事をしますが、大きく違うのは勤務中であることです。給料を頂いて研修を受けるわけですから、なおさらしっかり受講しなければなりませんし、逆に考えると給料をもらえてこんな研修を受けられるのはとても恵まれていると思います。

 

国税の職場の魅力

1 「正直者が損をしないように」というフレーズは私が仕事をする上で、常々意識している言葉です。例えば今の仕事で言うと、申告を直してもらうという仕事の中で、税金の額が多かったり、明らかに税務署側のミスだったりした場合には、納税者に連絡することがはばかられるような時があります。でもその時に「正直者が損をしないように」と思えば、勇気を持って立ち向かうことができます。そういう使命感や正義感を持って仕事ができることは魅力があると思います。

2 税務署の仕事というと内部での事務的な仕事のイメージされた方も多いと思いますが、書類をめくったり、電卓をたたくのみの仕事ではなく、実際に事業主のお宅や事業所に訪問し、専門知識を生かして調査を進める「現場の仕事」です。「現場の仕事」ですので現在の社会情勢や経済状況を常に感じながら仕事をすることができます。また職場自体も堅苦しい雰囲気はなく、明るく活発な雰囲気です。

 

子育てと育児休暇

私自身も現在小学校3年生の息子と1年生のかわいい娘がいます。出産して2人ともそれぞれ1歳になるまでは育児休業させていただきました。この時は本当に育児に専念してのんびりとした時間を過ごさせていただきました。今思うと貴重な時間だったなと思います。そして職場復帰後も保育園の送迎があるので勤務時間を短縮する制度を利用していました。また、子どもが保育園に入るといろいろな病気をもらってくることが多いのですが「子の看護休暇」という休暇も小学校就学前には取得できたので非常に助かりました。現在は自分の親と二世帯で住んでいるので、学童保育のお迎えは親にお願いしてフルタイムで勤務しております。このように子どもが小さいうちは家庭の状況に応じて勤務体制を選択できるので女性にとって働きやすい環境が整っています。また、女性だけでなく男性も子どもが生まれてくる時は特別休暇を取得できますし、今は男性も育児休暇を取得する職員も増えています。自分もそうなのですが、国税の職場内で結婚している方が多く、初めは奥さんの方が先に育児休業を取得し、奥さんが職場復帰すると同時にご主人が育児休暇を取得する方もいます。私は育児休暇を2人、1年ずつで合計2年取得し、他の同期に比べ約2年間仕事をしていないことになるわけですが、今現在他の同期の職員と同じような仕事をさせていただいており、経験が少ない分不安なことがありますが、ありがたいことだと思っております。育児休暇を取得したからといって不利益になることはまずありません。

 

ワークライフバランス

最近ではワークライフバランスが重要視されていますので、残業は減少傾向にあります。効率的に仕事をして無駄な残業をしないようにしています。部署や時期も異なりますが、私自身はほとんど午後5時に退庁しております。また、休暇もとりやすい環境で仕事の状況に応じて、ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始など連続して休暇を取ることが可能です。周りの職員は趣味のために休暇を取得する人が多いです。音楽、鉄道、カメラ、旅行、スポーツやアイドルなど様々です。以前も今も自分の好きなことを仕事にできたら楽しいだろうなと思うこともありますが、仕事は仕事、趣味は趣味でメリハリをつけて好きな事は趣味の範囲で大いに楽しむこともありだなと思っています。また、この職場はどんな知識でも仕事に役立ってきます。特に遊び関係の知識は役に立ちます。様々な業種の事業所へ調査に行くこともありますので、納税者の方と話をする上でいろいろ知っていた方が話を引き出すことができます。いろいろな分野に興味を持ったり、趣味の世界を掘り下げていることは仕事の幅を増やすことにつながっていきます。

 

 

 

学生の皆さんへ

自分自身は今の仕事に就くまで遠回りをしてしまいました。今でも大学4年の時に国税専門官試験を受かっていれば、その分経験を積むことができたのにと思うことがあります。早くから目標を持って、その目標にたどり着くために最短距離で到達できる方がもちろんいいと思います。でもこれは常々思うことなんですが、人生において無駄なことは1つもないと思っております。失敗した事も含めて、経験したことの11つが自分を作っているのだと思います。今皆さんの中でこんな職業につきたいですとか、夢や目標があるという方はそれに向かってがんばって欲しいと思います。でもまだ見つけられない人は今興味のあることにどんどんチャレンジして欲しいです。何かのきっかけになるものがあるかもしれません。大学時代は時間がたくさんあります。今子育てをしている自分にとっては本当に時間が貴重です。大学生の時は喫茶店でコーヒーを飲むことなんて当たり前でしたが、今では1人でコーヒーを飲む時間は至福のひとときです。学生の皆さんはたくさんある時間を有効に使ってほしいです。また、いろいろな人に出会って、その出会いを大切にしてほしいです。社会に出るとへこむことはたくさんあります。どんな好きな仕事についても嫌な事は必ずあります。今のうちから嫌な事を乗り越える術を身に付けてほしいです。あの人もがんばっているんだから、自分もがんばろうと思える人を見つけたり自分の好きな事など自分の世界を持てるものなど、嫌なことを乗り越えるために必要な材料を大学生のうちにたくさん集めておいてください。大学生の皆さん方も悩むことはたくさんあると思います。勉強の事、友人関係、将来の事、恋愛など。大いに悩んで欲しいですが、決して後ろ向きではなく、いつも前向きに楽しく過ごして欲しいと思います。最後に皆さん方が健康で充実した大学生活を送れることを心から願っております。ご清聴ありがとうございました。

 

(文責:浜松支部 浅野哲司 人文学12回 経済学科卒) 

 


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