先生方にインタビュー② 社会学科小松かおり先生

投稿日時 2015-06-12 15:41:36 | カテゴリ: 3.在学生からのレポート(学生レポーター)

こんにちは。学生レポーターの経済学科3年大石 真です。今回は、社会学科文化人類学コース小松かおり先生にインタビューしてきました。


1.現在の研究内容とそれに取り組むことになったきっかけを教えてください。

 人と自然との関係を探っていく生態人類学という分野で研究しています。人類学では理念的ではなく、実際の地域の生活から探っていきます。サブテーマとして1。アフリカの農業と食、2.バナナ文化の比較、3.沖縄の市場(いちば)を扱っています。それぞれを考えながら、人と自然の豊かさ、問題点などを考えています。

 沖縄の市場の研究は、大学院で生態人類学を学ぶことになってその時に沖縄を1ヶ月歩くことになり、その時に見た豚肉の売り方におもしろさを感じたのがきっかけで研究することになりました。私たちが普段スーパーで売られているものは同じように扱われているけど、当時の市場では、かたまりで売られていたり値段もいつも来る人とそうではない人と違っていたりしました。調査が終わって10年ほど経ったら市場はスーパーぼく変わっていました。売り方がスーパーのように変わっていて、一般の人よりも観光資源として観光客あてへと変わっていました。市場を通して農業や水産業など産業の様子が見えてきました。市場の役割や目的が10年で変化したことで、再調査することにしました。この分野での出版した本として、「沖縄の市場文化誌」があります。

 アフリカの研究は、大学院の3年のときに当時行きたかったザイールで政変が起こったので、隣のコンゴで調査することになりました。ことばが分からなくても、食は見えてきます。食べているものなら見ていれば、ことばが分からなくても調査ができました。そして、次行こうとしたときに、また政変があり、カメルーンに行きました。ここでも、ことばが通じないので食から研究し、そこからこの食をどう作るかということで農の調査もすることになりました。

 バナナの研究は、アフリカの研究のあと、タンザニアで調査した人と話したら国によって作り方、食べ方が違うことがわかりました。アジアとアフリカなどを比べたら面白いのではないかということで調査を始めました。食べ方の違いとしては、タンザニアでは魚が多いので、ゆでて叩いてつぶして団子にして食べています。コンゴでは、周りに魚がいないので豆と一緒に煮てタンパク質を得ていました。ニューギニアでは焼いて、アマゾンではゆでて食べています。ここから、各地の調理法の違い、道具の違いなどが見えてきます。また、作り方の面ではコンゴでは1回植えたら放置するのに対し、タンザニアでは凝った作り方をしていました。ここから、土地のとらえ方や農の考え方の違いを感じました。

2.これからの研究予定について教えてください。

 研究先への調査結果の還元、論文を翻訳して村の記録として持っていく予定です。

 バナナの研究について、グループで科研費をもらって今年も調査を行います。

 沖縄では、市場の建て替えが今から行われることになっています。40年前に行われた時の状況の調査をしていく予定です。

3.持続可能な社会の実現のためには、どうあるべきか、何が必要かとお考えですか?

 続けていくことよりもはい上がること。変わる力、ただし自分にとって大切なものは手放さない(レジリエンス)。持続可能な社会よりも何度でも立ち上がる社会のほうが必要。やり過ぎない、壊し過ぎない、謙虚な姿勢での関わり方、自然の回復力を待つということが大切です。






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