学生レポーターの大石 真です。今回は、経済学科の地方財政の川瀬憲子先生にインタビューしてきました。
これまでどういった研究をされてきましたか?
主にアメリカの州、地方財政と日本の自治体財政を研究している。もともとは、アメリカの地方財政について補助金を中心に扱っていた。レーガノミクスで補助金カットがあり、それが地方財政に影響したからだ。ケーススタディとしては、ニューヨーク州と州内市町村を扱っていて、実際に1990年代にそこでも研究をしていた。当時は、本を出さないと博士の学位をもらえなかったという。地方財政は制度の複雑さで研究する人が国の財政より少ないという。その後、出版社からの依頼により「市町村合併と自治体財政」の本を発行し、8,000冊売れた。専門本は1,000冊いけば一般的にはいい方だといわれている。そこから、講演に呼ばれることも多くなった。今のシラバス本である「分権改革と地方財政」では合併だけでなく、合併しなかったところの事例検証や文献改革の影響などを書いている。東日本大震災が起きた後は、宮城県で研究にあたる人がいなかったため、宮城県を担当することになった。そして、「震災復興と自治体」という本を発行し、今に至っている。なお、その他にも県史の編纂なども行っていた。
これからどういった研究をされていく予定ですか?
震災復興や伊豆の地域再生など地域に焦点をあてた研究と、初心にかえってアメリカの地方財政について具体的に調査、論点整理していく予定。
今回、インタビューするにあたって、環境に関することを訊いていくことにしています。地方財政の授業では、原発の話を取り上げられましたが、原発についてどう考えていますか?
原発については、ゼミで調査したもの。中部電力や、市役所、訴訟団長にヒアリングに行った。原発の発電費用が安いというデータもあるが、実際は原発の企業だけは安くなるが、災害リスクなどを含めると社会全体では高くなる。さらに、日本の火力発電は古いものを使っていて効率が悪いだけで本来だと火力発電の経費はコージェネレーションなどを用いればもっと安くできる。もともと、御前崎市は財政難でそれが背景となり原発が作ることになった。固定資産税は減価償却により、年々減っていき、また交付金も減っていく。それが新規増設のインセンティブになっている。しかし、本来は電源交付金がなくても地方交付金で財政は賄えるという。危険なものを貧しい地域に押し付けてはいけない。地域差別につながる。少なくとも新規は作らないことや40年で廃炉といった方向にしていくことが必要。
普通だったら、脱原発に向かうはずだが、原子力ムラの利権構造や裏で核兵器に転用という狙いもあり、政府はコストなどの理由で推し進めている現状がある。
今回取材した中での名言
「社会の要請に応えるのが研究者の役割」
研究室に訪問しての感想
今回、川瀬先生の研究室にインタビューに訪問してびっくりしたのは溢れるほどの本やレポートなどの書籍の量にびっくりしました。私のゼミの先生は同じような分野であるのに研究室がすごいすっきりしています。それについては、理論系の先生はすっきりしていることが多いとのことでした。
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