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投稿者 : 事務局 投稿日時: 2010-12-03 14:50:21 (814 ヒット)

静岡大学文理・人文学部同窓会 寄附講座第2回

期日  2010年10月25日(月)14時半~16時
会場  人文学部大講義室
参加者 195名
講師  増井 忠弐氏  日本知的財産仲裁センター 副センター長 弁理士
    昭和38年 文理11回卒 物理
演題 「知的財産権と弁理士の生き方」

生涯で教壇に立つということは、学生自治会の役員のときオルグでみんなの前に立ったこと、卒論の発表の時、弁理士会の実務研修で講義したときの3回だけです。今回同窓会で後輩に仕事の話しをして欲しいという要請があり、不慣れですが皆さんの役に立てればと思い手を上げました。

1 はじめに
 菅首相もじつは弁理士です。アメリカのリンカーン大統領は「特許制度は、利益という火に油を注いだ」と言い、またある人は「人類最大の発明は特許制度である」といいました。アメリカは特許がさかんな国です。でも、1件の特許訴訟で3億円のコストがかかります。ですから1億円で済む和解の方が安上がりなのです。
今年日本人で2人、鈴木さんと根岸さんが化学ノーベル賞を受賞されました。選考委員は、物理や化学では「特許取得件数」が受賞の大きな要素になっているといっています。研究者にとり特許取得は大変重要なことです。
 知的財産はグローバルに流通する素敵な資産です。それゆえ、権利を巡り争いにもなります。イーストマンVSポラロイドがあります。青色LEDを発明した中村修二氏は利益を会社が1人占めしたとして訴訟を起こしました。600億円の地方裁判決は最高裁の和解で6億円でした。
 知的財産は無限の創造サイクルを持っています。日本では2002年に知的財産基本法を制定。政府に知的財産戦略本部を設置して、知財立国・科学技術立国の実現に向けてスタートしました。特許制度は、創造・開発した知的財産の定性的・定量的な評価を可能にする法制度です。


2 特許制度の歴史
 ローマ帝国が、BC50年頃定めた穀物の買い占めを禁止した「ユリア穀物法」が最初といわれている。歴史は下り1421年、水の都都市国家ベネチアで、堤防、水門、排水など土木技術で世界最初の特許を申請し受理されました。1474年には専門家による評議会も設置され審査するようになり、こうして特許は新しい技術が権利として独占化されるようになった。

 ドイツ 946年、オットー11世がコルヴァイ修道院に与えた市場特許状が特許第1号です。この市場権には市場税の徴収、造幣所創設権という特権がついていました。10世紀以降王により許可された市場は130市場に上った。

イギリス 1331年エドワード3世は、織物職人のジョン・ケンプに開封特許状を交付。これによりケンプはギルドに従うことなく織物業の技術移転が可能になった。織物業は、ギルドから独立し競争が可能になりいっそう発展した。
1624年、イギリス議会は「独占法」を制定し、「王による独占」の禁止に道を開いた。このことが19世紀の産業革命につながってゆく。これが最初の成文の特許法である。

アメリカ 1789年に新憲法制定。起草委員には発明家、建築家、第3代大統領のT・ジェファーソンが入っているが、その第1条で「議会は、著作者と発明者とに、彼らの著作物及び発見に対する期間を限定した排他的権利を保護することによって、科学と有用な技術の発達を奨励する権限を有する。」と規定している。
 アメリカ以外で、憲法で知的財産の保護を規定している国は、オーストラリア、北朝鮮、韓国、フィリピン、中国、モンゴル、ロシアである。

日本 明治18年(1885年)4月18日に専売特許条例が布告された。
1925年(大正14年) ドイツ法系の特許法制が完成。1960年に大改正し、1970年に大量化した技術情報に対応して近代化し今日に至っている。
3 知的財産、知的財産権の概要
特許権の行使は独占禁止法の例外である。法第21条で次のように規定している。
「この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」
 特許により得られる利益としては次の2つがある。
1)独占的効力 特許権者が独占販売して得られる利益。
 2)排他的効力 侵害訴訟で損害賠償請求できる。


特許を申請する時は、権利範囲はなるべく広いほうがよい。留意点としては
1) 構成要件が多ければ多いほど権利範囲は狭くなる。
2) 予測される置き換え、改変も含むようにする。
3) 侵害の立証が困難な構成要件を含まないようにする。
そして、範囲が余り広いと以下の問題が生じる
1) 従来技術を含んでしまう。
2) 実施可能要件を満たさない。

特許出願前には基本的に公表しない。留意点は
1) 論文への掲載、データベースの登録。
2) 学会発表 講演予稿集の発行日までに出願。
3) 小規模の研究集会でも注意が必要。盗まれる。
4) インターネット上での公開。文書より早く公知化するので危険。
以上で終わりますが、弁理士になる後輩が一人でも出てくれることを期待します。

 これ以外に 4、弁理士の業務 5、日本の知財力 6、知的財産と大学 7、熾烈な技術競争を支える知財 8、弁理士になるために など5テーマの詳細を講演予定だったが、時間不足で事実上割愛。拍手                (文責 小林)

 


投稿者 : 事務局 投稿日時: 2010-12-02 11:29:27 (1146 ヒット)

 静岡大学文理・人文学部同窓会 寄附講座

『現代の変容とキャリア形成』   第1回

期日  2010年10月18日(月)14時30分~16時
会場  人文学部 大講義室
参加者 215名
講師  木下 学 様  株式会社ベネッセコーポレーション勤務

(人文学部言語文化学科比較言語文化コース1997年卒(人文29回))
演題  「自分の軸をつくろう」よりよく生きるキャリアの描き方(静大編)―


「皆さんこんにちは!」「声が小さいですね~ もう一度!」でスタート。

「皆さん、この講義は参加型講義です。皆さん前のめりに参加しましょう!(全員がうなずく。)今回の私の講義では、以下の3つを体得することを目標に進めていきます。

1,周りの人とつながりが出来る。(自分の視野と世界を広げる意識をもって行動する)
2,ワクワクした自分を感じることができる。(自分と相手のことを知る、興味を持つ)
3,静大っていいね って思える。(自分を取り巻く環境を正解にする行動を考える)
この3点を中心にして、皆さんと、自分の軸をつくること、よりよく生きるキャリアについて考えていきましょう。」

「さて、先日週刊東洋経済で、大学ランキングが発表されていました。静大は全国800弱ある大学の中で、総合評価で第何位だったと思いますか?(学生に質問するも、30~40位という回答が多かった。) 実は、このランキングでは100位以下です。(一瞬、大講義室内が、静まり返る。)

 

 

このデータだけ挙げると、静大って悪い大学なのかな、と思うかもしれません。しかし、決してそんなことはありません。このデータだけでは見えないもの、語れないものがあるからです。また、このデータは学生の質を物語っているものではありません。周りや環境を悪くいうことは、簡単なことであり、自分たちが改善できないことが増えていきます。人は相手や周りの環境を悪くいったりすることはあっても、自分から行動を起こすことを中々しないものだ、ということです。周りに不満を言うならば、まず、現状を踏まえ、どうすれば、より良くなるのかを考えて、自ら行動していきましょう。それは、皆さん自身が、より良く生きる力を鍛え、成長することに繋がりますし、自分の夢を叶えるための力になります。そうなっていくと、データの見方や、環境といった物事の捉えかたも変わっていきます。これからは、そのような複眼的な視点が大切になります。」

 

講師の自己紹介の後、

「大学時代に、色々と進路で悩みましたが、著しく自己成長することを意識して就職しました。仕事を通じて、『何のために自分は働くのか』を問い、人はひとりでは生きていけないことを痛感し、自分らしく誠実に行動すること、人に対して素直に『ありがとう』と感謝する大切さを痛感しました。どんな仕事をしていても、仕事の意味や意義というのは必ず見つけられます。それを見つけることで、仕事に対する意欲も変わります。意欲が変われば、仕事の質もさらに良くなり、自分の存在価値を作り出していくことができます。大学生活も、またしかりなのかもしれません。私は、大学時代は『本質を考える、自ら決断する』トレーニングと位置づけると勉強が、会社は『人間大学』と思って過ごすと仕事が楽しめるようになりました。自分の意識を変えると周囲も変化していきます。自分の出来ることを、こつこつと確実に実行していけば、それは習慣に変わり、習慣になれば、自信を持って行動できる人になれるのだと思います。」

ここからは、『自分の軸をつくるトレーニング(静大バージョン)』自分の可能性を拓こう、自分を磨こう、と題して、今回は体験版として講義が進められた。

「ここで、皆さんに自分と仲間の可能性を引き出すコミュニケーション体験をしていただきます。2人1組になって向かい合い、トレーニングします。」

提示されたテーマに従って、Aさんが告白トークをする。Bさんは、Aさんはなぜ出来ないのだろう、という気持ちで聴き手に徹する。次に、この問題でBさんはAさんに自由に感想を述べる。 
さらにその続きとして、Bさんは、Aさんの強みを発見する意識をもって聴き手に徹する。そしてまた、BさんはAさんに自由に感想を述べる。
 ストップウォッチを片手に、笛で合図する。大講義室全体に、緊張感が走り、笑いがはじける。フリートークになるや、会場は銭湯の中みたいににぎやかになる。この2つの聴き方の違いで、実はコミュニケーションは大きく変わってくることが種明かしされる。 ケイタイで会話する世代とはとても思えない。人と人の会話がこんなに楽しげなのか、と改めて見直す。

「 自分の軸をつくる心構えとして、以下の3つをお話します。ここでは、自分の軸を、自分の価値観・信念・判断基準ではなく、『自分の軸=現在から未来へと続く「なりたい自分」「やりたいこと」』と定義します。

1,自分探しではなく『自分づくり』をしましょう。

今の世の中には、答えのない問題がたくさんあります。今までの受験では、予め答えが準備されていたものに対して、どれだけ正解出来たかを競い合ってきました。これからは、その発想から早く抜け出しましょう。『自分の軸の答え』は、見つけるものではなく、自分でつくり出すものです。

2,自分や社会に常に問いを立ててみましょう。

今から様々な事に問いを立て、自分や社会に疑問を持つことです。大学の勉強では、この思考を鍛えることが大切になります。『自分の頭で考える人』になりましょう。

3,考える人から、『考えながら行動できる人』になりましょう。 

色々考えている人は多いと思います。しかし、実際に行動している人は意外と少ないものです。考えたならば、勇気をもって行動してみましょう。行動してみるからこそ、色々な経験ができますし、結果も受け取ることが出来るのだと思います。

そして、『現在は、過去の1番新しい日ではなく、未来の最初の日』と考えて、毎日の積み重ねを大切に、ワクワクした気持ちで行動していきましょう。」

「次のテーマとして、自分の強みを考えてみましょう。用意された2つのテーマに従って、先ほどと同じ要領で会話してください。」

ペアワークと、講師と学生との質問、応答が続く。会場内は盛り上がり、時間はあっという間に経過していく。

「続いて最後のテーマです。」
テーマが発表され、まず、Aさんは顔を伏せて、このテーマを1分間考える。次にこのことをAさんはBさんに話す。次に、Bさんが考え、BさんがAさんに話す。そして、最後の1分間でフリートーク。
実はこの最後のテーマ、内容だけに意味深長であるが、会場は沸騰し、ペアワークでは何故か嬉しそうに、生き生きした雰囲気に包まれた。

締めくくりに、自分の軸づくりのためのアクションを宣言、ペアの人と承認し合う。目標設定は具体的であり、検証できるものだとよい。これからも自分で設定し続け、習慣にしていくことが大切とのこと。

 講義終了にあたり、講師から後輩へのメッセージ。

「皆さんが静大を卒業する時に、ご家族、教授、友達、縁ある方々に素直な気持ちで「ありがとう」が言え、自分が生かされていることへの「感謝の言葉」が自然に出てくる、自分づくりが出来て、社会人として良いスタートが切れることを期待しています。静大で豊かな実りある、かけがえない大学生活を送ってください。卒業生として心から応援しています。」 拍手。   (文責:小林)

 


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